ボリンジャーバンドの憂鬱:トレーダーとして戦う武器の原理を理解する(2)

正規分布に従わない株価の問題を解決する、件のトレーダーのセミナーや山崎元氏の本で提唱されている方法がある。

偶然の共通性だとは思えず調べてみると、金融工学の世界で用いられる、データの定常性を確保するための非常にメジャーな方法だった。

それは、「階差を取る」という方法。


当日の株価(終値)から前日の株価を引いた値を使って各種ファクターモデルを構築する。

通常の経済変数は1階階差を取ると定常過程に従う、という知見に依拠する考え方だ。


株価のような時系列データは一般的に非定常であるため、そのままのデータで分析すると諸々の不都合生じてしまう。

たとえば、ランダムウォークに従う変数同士を回帰させたとき、回帰係数の値が統計的に0でない値になり、高い決定係数を示したりなど。

そこで、階差を取って定常性を確保するのだ。


ここから共和分の関係にある2銘柄を用いてペアトレードに展開し、ユニバース内リターンリバーサルの特性を活用したロングショートポジションでポートフォリオを組成、重層的にエッジを獲得するトレード手法が有名だが、それはまたの機会に。


さて、実際にTOPIX指数終値の階差を取り、ヒストグラムを描いてみる。


株価のヒストグラムと比較すると、断然こちらの方が正規分布らしいと感じるだろう。

定量的にみると、歪度は-0.4とほぼ均質で問題なし。

尖度は5.5と、ヒストグラムを見てもわかるように尖り気味だ。
(※エクセルで計算したため尖度の基準は3ではなく0となる点に注意。)


より正規分布に近づけるための、前述の著名なお二方が使っている正式な方法がある。

以降は読者自身で調べてみよう!

最終形状はこのような感じでとても美しい。