裁定買い残推移チャートを読み解いて年末のデルタを調整する

広い視点で需給の流れを読むために、より影響力が強いものは何か、いろいろ調査中。

その中で今回、「裁定買い残」の推移に着目した。


裁定買い残の説明は、下記。
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裁定買い残とは、裁定取引(アービトラージ)において「先物売り、現物買い」のポジションを組んで、まだ裁定取引を解消していない現物買いの残高のことです。
一般的な株式の裁定取引では、株価指数先物と現物株はセットで取引され、一方が買いであればもう片方は必ず売りになります。
そして、「先物売り」で「現物買い」の残高を「裁定買い残」といいます。
反対に、「先物買い」で「現物売り」の残高を「裁定売り残」といいます。
また、裁定買い残、裁定売り残を合わせて、「裁定残」と呼びます。

・ワンポイント
裁定買い残は、裁定取引が解消されるときに必ず売却される現物株になりますので、裁定買い残が増えていくと、それは将来の売り圧力が高まっていると判断することができます。

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出典:SMBC日興證券HP


裁定買い残は昔から知っていたのだが、需給の観点でトレードしていなかったためか、特に重きを置いて観察することはなかった。


このデータの確報値は、毎週第3営業日に、先週の値が東証より発表される。

短期のパターン認識ベースのシステムトレードだと、週1の発表で、しかも3~4営業日も出遅れたデータは使いづらい。


しかし、需給観点のスイングトレードを主体としている今は、きちんと観察すべき数値だと考えている。


かつてはただ一点、いまいち腑に落とし切れていないことがあった。

それは、“裁定解消売りによる株価下落”という、よく見る表現だ。


先物売りと同額の現物買いで裁定ポジションを組んだとすると、市場全体に与える影響は中立のように感じるだろう。

その裁定ポジションを解消したときもまた、先物を買って現物を売るわけだから、中立のように思える。


しかし、需給という視点では大いなる影響がある。

先物は契約であり、ある意味形のないものだ。

一方で、現物株は文字通り、企業収益や資産に裏付けられた実体のあるモノだ。


とすると、裁定解消で先物買い、現物売りが起これば、先物は単なる契約の解消になるが、現物の売りは、それまで裁定によりホールドされていた株が市場に出回ることを意味する。

つまり、裁定解消売りによって市場に株が供給されるため、株価の下げ圧力となるのだ。


下記が2006年4月7日から2014年11月14日までの週次裁定買い残の推移。

裁定買い残チャート

絶対的な基準で見るべきか、トレンドで見るべきかはこれから考えたい。

最新の2014年11月14日段階の3兆4322億という数値は、グラフからも結構高い水準といえる。

直近は4兆あたりで天井を売っていることから、近々の裁定解消売りを念頭にポジションを組成すべきだろう。


最も早い裁定解消ターゲットは、来月12月12日のメジャーSQあたりか?

他の指標も鑑みて総合的に判断し、今週からヘッジ売りポジションを徐々に厚く構えはじめたところ。


さてさて、吉と出るか凶と出るか。