次に新指数に関する周辺情報を収集。

人間は既存の状況からの変化に対して拒否反応を示すものなので、そこを割り引いて各種情報ソースにあたること。

また、肯定的な側面と否定的な側面とをインプットし、自分なりに咀嚼するプロセスを怠らないように。


—————————————-
日本取引所CEO、JPX日経400の利便性を強調 先物にも前向き

・日本取引所グループ(8697)の斉藤惇グループ最高経営責任者(CEO)は29日の記者会見で、2014年1月から公表を開始するJPX日経インデックス400について「東証株価指数(TOPIX)に似ていないか、との指摘が投資家からあったが、(銘柄数が少ないことなどから)入れ替えコストが全然違う。使ってもらえば分かる」と述べ、投資家の利便性を強調した。
—————————————-

本尊の記事。


銘柄は確定しているので、1月の運用スタートで何か変化があるわけではないことは頭に入れておこう。

我々が見るべきはあくまでも需給変化のタイミングだ。

また、TOPIXとの違いとして「入れ替えコストが低い」ことは結構重要。

日経平均が指数としての問題を抱えていながら今でも主役を張っているのは、完全法によるポジション組成がTOPIXに比べてはるかに容易であるからだ。

斉藤CEOの売り文句はポジショントークでありながら的を得ている。


坊主が憎くても袈裟の評価は別に行わないと、本質を見失い収益機会を逸するので自戒を要す。


世界一の機関投資家GPIFと安倍政権のお墨付きという後光効果のゴリ押しに加えて、この指数としての合理性をもってすれば化ける可能性はゼロではないか。


—————————————-
新指数「JPX日経インデックス400」誕生 ~「古い思考によって生み出された新しい指数」の未来

・しかし、その他の投資家が、新指数をベンチマーク(指標)に使う可能性はかなり低そうです。

・日経平均株価の「対TOPIX累積超過リターン」は、同期間で「+15.28%(分配金含まず)」ですから、「効率的運用」という観点からは、日経平均株価が、新指数「JPX日経400」を上回っていたことは確かなようです。

・極論してしまうと、パッシブ運用であるなら、ベンチマークを何にしてもそれほど大きな違いはありません。

・日経平均株価は225銘柄の単純平均株価に基づいた株価指数であるのに対して、TOPIXは上場1757銘柄の時価総額ベースの株価指数であり、銘柄数も算出方法も全く異なります。それでも、両指数の相関係数は97.06%と、極めて高いものになっているのです。新指数「JPX日経400」の時系列データが公表されていませんから、TOPIXとの相関係数を計算することは出来ませんが、同じ時価総額ベースの指数ですから、日経平均株価と同等かそれ以上である可能性は高いと思います。
—————————————-

否定派の記事。

今回の調査で初めて知った、近藤駿介という御仁。

ただ、実績に裏打ちされた洞察は一読の価値あり。


近藤氏が指摘している、対ベンチマーク比較においてJPX日経400よりも日経平均の方がパフォーマンスがよかったという指摘はデータサイエンティストとしても注目に値する。


東証と日経の公表した資料においても日経平均との比較には一切触れられていない。


彼らは都合が悪いデータを意図的に資料に掲載していないのだ。
(TOPIXとの比較資料があるのに日経平均との比較をやっていないわけがない。)


提供された資料に対して意見することは誰にでもできる。

しかしその資料にない事柄に思いを馳せ洞察を与えることは、当該領域に対する相当な知識と、常に物事を多様な視点で観察する習慣がなければできない。

この洞察は近藤氏が優れた評論家であることを雄弁に物語る。


また、相関係数の観点から指数を何にしても大差ないと一刀両断。

東証、日経、安倍政権の利害のために、多大な社会コストをかける意味がどこまであるかは個々人がしっかり考えるべき論点だと思う。


—————————————-
JPX日経インデックス400導入が意味するところ

・独立した社外取締役の選任など、外国人投資家が評価する点も考慮している。

・逆に、225銘柄でありながら、400銘柄から落ちた銘柄は、ファンダメンタルズに魅力なしとの烙印を、日本経済新聞社と日本取引所グループから押されたに等しい。
—————————————-

肯定派の記事。

私も書籍を購入して学ばせてもらった、矢口新氏の意見。


前回さらりとスルーした「社外取締役の選任」は外国人投資家を意識したものだったことを気づかされた。

為替ディーラーだった矢口氏らしい洞察だ。

たしかに国内の機関投資家に加えて外国人投資家を呼びこめれば鬼に金棒ではある。

ただ、この定性判断は東証と日経のさじ加減ひとつなので、恣意的な銘柄選定を強いられる懸念はある。

クールに収益機会として捉えるなら、当落線上にある銘柄の判断において重要なファクターと捉えて調査すべきか。


225銘柄で400銘柄落ちの話はまさにこれからやろうとしている内容。

矢口氏のお墨付きを頂いたので、データの分析にも気合が入るところ。


ということで今回は引用も含め長くなってしまったが、ニュートラルな視点で情報ソースにあたることの重要性を伝えたかったのでご容赦を。

我々の目的は、あくまでもトレードに使える堅牢なエッジを見出すことであり、特定の個人や組織に対して感情的に脊髄反射することではない。

クールな頭で熱意をもって情報に洞察を加えると、収益獲得の土台をしっかり固められることを体感できれば、楽しみながら筋肉質なトレーダーになれるのではないかな。