特定口座源泉徴収ありの真実:確定支出を減らすか、投資効率を上げるかの選択


前日の経費の流れで、「特定口座」にたどり着いた。

特定口座とは、2003年1月から導入された、上場株式等の譲渡益課税における個人投資家の申告・納税手続きを簡素化するための制度である。

この制度では、証券会社が年間取引報告書を作成し、それを翌年1月に送付してくれるため、確定申告が簡易的に行える。


加えて、源泉徴収ありと源泉徴収なしが選択可能だ。

前者は取引で利益が出た際、自動的に税金が徴収される。

最終的には損失と合算されて納税額が決定する。


これにより、確定申告を行わなくてもよくなるという仕組み。

ただし、損失の繰り越しなどを行う場合には申告が必要。


後者は、1年を通して20万円を超える利益が出た場合、確定申告の義務が発生する。


一見源泉徴収ありの方が手間がかからずよいように思える。

しかし、収益を恒常的に生み出すシステムを持つ者は、源泉徴収なしを選択するだろう。

複利効果を考えたとき、利益分の20%が手元にあるか拘束されてしまうかの差は、収益にもかなりの差を生み出す。


効率的な資産運用という観点では、特定口座の源泉徴収なしの一択となる。


が、各証券会社の説明を見て、今頃気づいたことがある。

特定口座の源泉徴収ありの場合、利益が所得とならないのだ。

これはトレードスクール生のカウンセリング時に教えたもらって初めて知った事実。


この事実が何を意味するかというと、源泉徴収なしの場合、所得が増加するため、それに比例する国民健康保険が高額になるのだ。

その他、扶養家族が株取引で多額の利益を出して源泉徴収なしを選択すると、扶養から外れてしまう。


逆にいえば、源泉徴収ありの場合、もし株の利益のみしか収入がなければ所得はゼロとなり、健康保険料は最低額となる。


安定的に相当額の利益を出し、資金を目一杯回転させなくていいなら、源泉徴収ありも選択肢として考えてもよいだろう。


あとは社会的信用との兼ね合いか。

額面上所得がゼロなので、賃貸契約やローンなどの所得証明が必要な場面で不利になる。


以前自分も、フリーランス1年目ということで賃貸契約を断られたことがあった。

大企業のサラリーマンのときには何も気にしなかったが、社会的信用のない者は常に一段下に見られるのだ。


もっとも、株の確定申告書でどれだけ信用を獲得できるかははなはだ疑問だが。

自分のように複数の収入源を確保しようとしているのなら、法人にして事業所得とした方が見栄えはよいだろう。

その場合は、ガッツリ税金を持っていかれる。


今は収益性を重視して目一杯資産を膨らませ、徐々に得たお金で社会的信用を買う、というプランでいくかな。