システムトレードに己の意思を介在させるためのチャートリーディングの技法(2)



チャートリーディングを考えるとき、決して「テクニカル分析」と混同してはならない。

そこには本質的かつ決定的な違いが存在する。


売買判断のための情報をデータから抽出する手続きという点では、両者は同じだ。

差異は、情報の抽出を脳の外で行うのか、中で行うのか、の一点のみ。


テクニカル分析は平均や分散などを計算機で算出してデータを縮約、内包される情報の密度を高める。

密度の高まった情報を観察することで、生のデータを観察するよりも紛れの少ない判断が可能となる。


チャートリーディングでは、あえてその生データを、まんま脳内にインプットする。

脳は多入力一出力の巨大な関数。

不完全情報ゲームにおいて、その時空間認識能力および関数近似能力は、現代でも人工知能を遙かにしのぐ。

チェスで人間を寄せ付けないアルゴリズムを開発した天才たちが、なぜフクシマに作業用ロボットを送れなかったのか、我々はチューリングマシン以降いったい何をやってきたのかと、前非を悔いたという。


その巨大な関数は同時に、己の感性の発露であり、よき未来をいかに生きるべきかを示現してくれる道しるべだ。

ならば、テクニカル分析によって関数の大半を外部にアウトソースするのは、あまりにももったいない。


今でも、“コツンと音がしたので、ガッっと買って、スーッと上がったからサッと売り抜けた”と宣いながら、恒常的に巨額の利益を得ているトレーダーがいるらしい。

自分の場合は期待値優位なタイミングやユニバースを選定した後のチャートリーディングを模索していきたいので、さすがに感性のみに頼ったトレードはしないが、何とも勇気づけられる話ではないか。


将棋や囲碁など完全情報ゲームでは、名人が計算機に負ける日が刻々と近づいているが、トレードの世界はまだまだ升田幸三が現役で戦える。


そんな世界で飽くなき興味を持てる今に感謝して、これからガッツリと技を磨いていこう!

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