グリーとDeNAの時価総額の差を生み出す大きな要因である浮動株比率


モンスターストライクのヒットで、死に体から一気に息を吹き返したミクシィ。

増担保が売買に与える影響など、スクールでもちょっとした話題に上がっていた。

SNSプラットフォームとして競合するグリー、DeNAを、ゲーム1本で抜き去った事実は、改めてソーシャルゲーム業界のボラティリティの高さを感じさせるものだ。

2014年6月6日現在の時価総額
ミクシィ:2328億
グリー :2306億
DeNA  :2224億


自分はかつての仕事柄、グリーとDeNAの両プラットフォームと付き合いがあった。

この両社のコンサルティングを受けていた印象だと、明らかにDeNAの方が賢かった。

提案の内容や資料の質、即断即決の気風など、どれをとってもDeNAが上である。


創業社長である、ソネット出身の田中良和氏とマッキンゼー出身の南場智子氏の差かなと、ヒルズやヒカリエの帰り道、同僚ともよく話していた。


それでいて時価総額はグリーの方が上というのは、おもしろい事象でありながら少々解せないところもある。


時価総額とは、発行済み株式数×株価で算出される。

発行済み株式のすべてが市場で売買されているのなら、時価総額はフェアな企業価値を表現する。


しかし、市場で売買される株式、すなわち浮動株に差があるのなら、それを考慮しなければならない。

東証が発表している、2014年5月末時点での浮動株比率は以下。

グリー:0.400
DeNA :0.600

DeNAの浮動株比率の方がかなり高い。

他の条件が等しい場合、DeNAの方が市場への株式の供給量が1.5倍なので、株価を押し下げる大きな要因になるのだ。

このことから、時価総額を額面通り評価するのは危ういことがわかるだろう。


商品は価値と使用価値を持つ。

価値は微少区間では不変だが、使用価値は需給によって大きく変動する。

この当たり前の原理を腑に落として株価と時価総額との関係を観察しないと、思わぬミスリードを引き起こす。


逆にこの原理を利用したトレーディングエッジも、使えるアイデアとしていろいろ考えられると思うので、株価変動の本質を理解する上でも深掘りする価値があると思う。

学習と実益を兼ねて、是非お考えあれ!