40歳コミュ障専業ネオニートのリアル(5):フリーザを追い詰めたピッコロ大魔王

稼ぐ人の株投資7

空元気で本命企業の面接に挑む、かなり肌寒い夜。

クリスマスのイルミネーションが自分を嘲笑しているような大都会で、とぼとぼと歩を進める。

面接官は2名で、いきなり現場の決裁者が出てきた。


温和な表情中にも、緊張感のある空気を作り出し、的確かつ鋭い質問が続く。

さすがにエリート集団を束ねている猛者だけのことはある。

明らかにこれまでの面接官とは、まとっている闘気が違う。


こちらも負けずに応戦し、あらゆる質問にロジカルに答えていき、さらにアドリブでプラスアルファの提案を添えていく。

先方もこちらの提案に興味を持ってくれているようで、面接終了後はいつも通りやりきった充実感でいっぱいだった。


だが、同じことを何社も繰り返して結果が出ていないため、まったく確証は持てない。

結果を天に祈る以外の術はなかった。


次の日、別の面接を終えて近くの書店をふらついていると、握りしめていたiPhoneが突如ブルった。

“○○社、一次選考通りました”

“うぉ!マジですか!!”

静寂が支配する書店で、思わず嗚咽のような声がこだました。


次の面接が最終で、現場のリーダークラスが出てくるとのこと。

財布を握っている決裁者が合格を出し、あとは現場のプレイヤーとの顔合わせか。

そうイメージした瞬間、

“ククク、勝ったな”

勝利を確信した。


しかし、この勝利の確信は、第一形態のフリーザを追い詰めたピッコロ大魔王のそれであった。


次の面接では、想定通り、一次よりも若い30代前後の社員が2名出てきた。

少し自信を取り戻した自分は、一次と同じボルテージでまくし立てた。


時間の8割はこちらが支配し、彼らの2割の質問にもれなく答えていく。

ペースは一次と同じようにに進んだため、面接終了後は久しぶりに胸を張り、力強く人混みをかき分けて歩けた。

すれ違う若いカップルもほほえましく見えた。


だが、翌日に来るはずの結果が待てど暮らせど来ない。

エージェント曰く、どうやら内部で揉めていて、判断を次の日に持ち越したとのこと。


“揉める!?”

面接でのアピールは完璧だったはず。

異を唱えているとすれば、最終面接の2名のうちどちらか、あるいは両方が上司に向かって反対を唱えていると考えられる。

落ち度は何もなかったはずだったが・・・。


待つこと2日、夕刻になっても結果は来ず。

さらに待つこと数時間・・・。

子供も寝付いた夜中、ついにiPhoneに「選考結果のご報告」メールが!!!

・・・

・・・

・・・落ちた・・・。


期待が大きかっただけに、今まで以上にガクッとうなだれる。

このエリート集団の中で自分の可能性を試す未来が瓦解していく。

収まりかけた口内炎が再び巨大化していくのがわかった・・・。


だが、である。

この会社からいただいた落選理由が、反撃ののろしをあげる起点となるのだった。


(え、長い?全然ドカンと大儲けする話じゃない?まあまあ、紅白のAKBパートまでには終わるので、我慢してお付き合いあれ。)