主要イベントでありながら、未だ手つかずにいるIPO。
あまり知識のない頃に数字だけ検証し、ボラティリティの割にリターンが安定せず、説明力の高いファクターを見いだせなかった記憶がある。
現在、需給を中心にトレードしているため、その視点で再度トライできないかと思案中。
IPOの初動では特に、理論株価との乖離よりも、市場に出回る株式数や需要の強度の方が説明力が高いと想定される。
たとえば、来週10月9日に東証一部へ直接上場する「3197 すかいらーく」の事例を見てみよう。
今時点の発行済み株式数は190,070,700株。
公募が4,138,000、売り出しが66,452,600、売り出しのオーバーアロットメントが7,092,800株。
上場時点で想定される発行済み株式数は194,208,700株となる。
需給面だけで考えると、上記の数字にそれほど大きな説明力はないだろう。
重要なことは、市場取引が始まってからの需要と供給のパワーバランスとその推移。
まず供給面で押さえるべきは、既存株主が初動でどの程度の株を市場に供給しうるかだ。
それを推測する上での重要なファクターが、主要株主のロックアップ割合。
※この銘柄はなにやら目論見書に閲覧制限がかかっているようなので、引用は避ける。細かい内容は各自調べて欲しい。 別に問題はないと思うが念のため。
すかいらーくの目論見書を読むと、実に96%が香港のベンチャーキャピタルが保有している。
うーむ、昨今の中国当局の介入が頭にあるためか、相当にきな臭く感じる。
今日からガストの“力こぶハンバーグ”を安心して食べられなくなったな。
それは置いておいて、とどのつまりベンチャーキャピタルの巨大な株にロックアップがかかっているかがすべてとなる。
幸い目論見書では、しっかりと180日のロックアップがかかっているようだ。
加えて、ストックオプションの残高も調べるべきだろう。
すかいらーくの事例では233,516株と、ベンチャーキャピタルの株数に比べて極めて少ないので考慮する必要もないか。
ちなみに、このストックオプションは相当に行使価格が高く、即行使されないだろうから、それも安心材料だ。
次に需要面。
仮条件の1200円~1450円に対し、売り出し価格は下限一杯の1200円となった。
知名度は抜群で、ブックビルディングの期間中はまだ上げ相場だったにもかかわらず、である。
ということは、純粋に売りに出された株数が多すぎると推察できる。
直近の株価急落も考慮すると、1200円を瞬間的に深く押し込む場面も想定しておくべきだろう。
それでいて、既存株主の実需売りが出てこないのであれば、恐怖に耐え、突っ込んだところをナンピンで買い向かうのが基本戦略となる。
もしそのまま上昇した場合、半値押しなどの深めの押し目を、目をつぶって買い向かうことも頭に入れておこう。
美髯公関羽の豪腕で振り下ろされる青竜刀を素手でガッツリ掴むがごとき胆力が試されるこの銘柄。
同時期に上場する、今年のIPOの主役、「6098 リクルート」も含めてしっかり観察していきたいところ。
今週日曜日にHighFAI検証チームのキックオフミーティングをスカイプで開催するので、彼らが興味あれば引き続きIPO検証も是非やろう!