GPIFがTOPIX一辺倒だったベンチマークを、MSCIjapanやラッセル野村プライム及び一部で話題のJPX日経400に変更した。
マーケットポートフォリオを時価総額加重ウェイト型の株価指数であるTOPIXとしてきたこれまでの慣例を見直そうという動きだ。
新しいマーケットポートフォリオは時価総額加重ウェイト型よりも賢いという意味で、「スマートベータ」と呼ばれ注目を集めている。
レベルの高かったトレードスクール第六期でもしばしば話題に上がっていたため、先生としても見過ごすわけにはいかない。
スマートベータにおいては何かしらの運用ルールに基づいて株価指数を作るのだが、大きくは「企業規模型」、「低リスク型」、「クオリティ型」、「高配当型」、「等金額型+高配当型」の5タイプに分類される。
ROEに40%のウェイトを置いているJPX日経400はクオリティ型に分類されている。
さて、このような時代の大きな流れの中で、我々システムトレーダーはどう処世していけばよいのだろうか。
考えられるのは、旧来のユニバース選定基準の見直しだろう。
これまではサイズ、セクター、スタイルなど東証が規定したユニバースを機械的に使用し、その後、リターンの相関を考慮するなどして個別のカスタマイズを加えていけばよかった。
しかし今後はその選定基準が多種多様になっていく。
ひとつの銘柄があるベンチマークにはアウトパフォームしているのに、別のベンチマークではアンダーパフォームする、などの現象が頻繁に起こりうるだろう。
単純なセクター内リターンリバーサル戦略を機械的に運用しているシステムトレーダーは、特に注意が必要だ。
そのシステムが依拠している割高、割安の評価自体がドラスティックに変化する可能性が多分にあるため、一気にシステムが崩壊しかねない。
とはいえ、このビッグウェーブに乗ることができ、問題を定式化、迅速に新リターンリバーサル戦略を運用に乗せたなら、超過リターンは大きなものになるかもしれない。
時代の変化と共に概念を拡張していく大切さを実感すると共に、知れば知るほど過去に拘泥する恐ろしさもまた感じずにはいられないスマートベータ運用。
その意味でも、ひたすら進化し、昨日の自分を超えていく日々を楽しめる、そんな自分でありたいと思う。