
シナリオを組み立てるフレームワークがベースにあると、様々な金融、経済用語を覚えるのが楽しくなる。
言葉が直接儲けのヒントになる感覚は、いまだかつて経験したことがない。
この歳になって学ぶ楽しさの別の側面を垣間見られるとは。
昔買って積ん読状態だった「日経記者に聞く 投資で勝つ100のキホン」を再読中。

決算や会計用語の基本的な説明が、1用語見開き2ページでまとめられている。
自分のような入門者にはとても読みやすい本だ。
とはいえ、日経の記者が書いているせいか、企業評価の視点も使えるものが多い。
たとえば総資産利益率、通称ROA。
総資産に対してどれだけ利益を出したかを測る指標だ。
これを時系列でウォッチし、右肩下がりの状況が続いてきたら減損の可能性が出てくるという。
なるほど!
多くのトレーダーにとっては“ふーん、まあそうだよね”くらいの感覚かも知れないが、シナリオの素材を渇望している自分にとっては値千金の記述だ。
この一行だけで本の代金を回収して余りあるくらい。
重要なことは、実際に減損が起こる事実だけでなく、“減損が近い将来起こりそうだ”と当該銘柄をトレードしている主体が考えるかどうかなのである。
そう考える蓋然性が高ければ高いほど、腰の入ったシナリオが一本走っていると、自信を持って想定できる。
実体として株価に大きな影響を与えていながら、用語を知らずシナリオのフレームワークを持たないために、日々最適化作業に勤しむシステムトレーダーには全く見えない世界が確実に存在する。
こういった合理性があり、かつ株価を直接説明するシナリオが複数本見えているトレーダーと、情報ソースが株価だけのシステムトレーダー。
勝負の行方は火を見るより明らか。
勝ちたければ、とにかく言葉を憶え、概念を拡張し、そして見渡す世界を無限に広げていこう。
そのプロセス自体が楽しみとなったなら、身に起こるすべてのことが自分をワクワクさせてくれる。
生きる目的ってそういうことじゃないのかな?