空元気で本命企業の面接に挑む、かなり肌寒い夜。
クリスマスのイルミネーションが自分を嘲笑しているような大都会で、とぼとぼと歩を進める。
面接官は2名で、いきなり現場の決裁者が出てきた。
温和な表情中にも、緊張感のある空気を作り出し、的確かつ鋭い質問が続く。
さすがにエリート集団を束ねている猛者だけのことはある。
明らかにこれまでの面接官とは、まとっている闘気が違う。
こちらも負けずに応戦し、あらゆる質問にロジカルに答えていき、さらにアドリブでプラスアルファの提案を添えていく。
先方もこちらの提案に興味を持ってくれているようで、面接終了後はいつも通りやりきった充実感でいっぱいだった。
だが、同じことを何社も繰り返して結果が出ていないため、まったく確証は持てない。
結果を天に祈る以外の術はなかった。
次の日、別の面接を終えて近くの書店をふらついていると、握りしめていたiPhoneが突如ブルった。
“○○社、一次選考通りました”
“うぉ!マジですか!!”
静寂が支配する書店で、思わず嗚咽のような声がこだました。
次の面接が最終で、現場のリーダークラスが出てくるとのこと。
財布を握っている決裁者が合格を出し、あとは現場のプレイヤーとの顔合わせか。
そうイメージした瞬間、
“ククク、勝ったな”
勝利を確信した。
しかし、この勝利の確信は、第一形態のフリーザを追い詰めたピッコロ大魔王のそれであった。
次の面接では、想定通り、一次よりも若い30代前後の社員が2名出てきた。
少し自信を取り戻した自分は、一次と同じボルテージでまくし立てた。
時間の8割はこちらが支配し、彼らの2割の質問にもれなく答えていく。
ペースは一次と同じようにに進んだため、面接終了後は久しぶりに胸を張り、力強く人混みをかき分けて歩けた。
すれ違う若いカップルもほほえましく見えた。
だが、翌日に来るはずの結果が待てど暮らせど来ない。
エージェント曰く、どうやら内部で揉めていて、判断を次の日に持ち越したとのこと。
“揉める!?”
面接でのアピールは完璧だったはず。
異を唱えているとすれば、最終面接の2名のうちどちらか、あるいは両方が上司に向かって反対を唱えていると考えられる。
落ち度は何もなかったはずだったが・・・。
待つこと2日、夕刻になっても結果は来ず。
さらに待つこと数時間・・・。
子供も寝付いた夜中、ついにiPhoneに「選考結果のご報告」メールが!!!
・・・
・・・
・・・落ちた・・・。
期待が大きかっただけに、今まで以上にガクッとうなだれる。
このエリート集団の中で自分の可能性を試す未来が瓦解していく。
収まりかけた口内炎が再び巨大化していくのがわかった・・・。
だが、である。
この会社からいただいた落選理由が、反撃ののろしをあげる起点となるのだった。
(え、長い?全然ドカンと大儲けする話じゃない?まあまあ、紅白のAKBパートまでには終わるので、我慢してお付き合いあれ。)