労働収入が忌避される理由には、まず搾取の問題がある。

労働に対する正当な対価を得られないため、どれだけ頑張っても豊かになれないと感じてしまう。

「はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る」とは『一握の砂』における石川啄木の言。


たが、最大の理由は自らの労働の意義を見出せないことだろう。


現代は業務が高度に細分化され、最終的なアウトプットに対して自分の労働の貢献度を測ることが難しくなっている。


また、実体経済の数倍の信用創造がなされていることから、可視化されないアウトプットが増大。

いったい自分は何を生み出しているのかさえ感じられない仕事に、日本を含む先進国の労働者は従事している。

その最たるものが、我々が取り組んでいる金融市場におけるトレーディング。


「市場に流動性を与え、世界経済における資本の最適化を図っている」との志で売買しているトレーダーはいない。

すべては私利私欲に帰着する。


労働において社会との関係性を見出せず、かつその利得が自分にしか向かない。

長年その意義を自他ともに問い続けてきたが、どうしても答えが見つからなかった。


消去法として、少なくとも労働者の労働がいかなる構造で収益を生み出しているのかを定量モデルとして提示し、その構造を組織として円滑に運用するための体制構築を目的として自分のデータマイニングスキルを活かすことを錦の御旗とし、働くことを決意した。