21世紀、最もコモディティ化が進む商品は「人間」、とはまこと至言である。
グローバル化により技術は平準化、規格化され、新興国労働者とのサヤ裁定により、日本人がその給与水準を維持することは不可能だと、誰もがが薄々感じているのではないか。
給与の下落圧力に抗しきれない労働者に対しては労働強化がより一層進むだろう。
そして、究極的には余剰人口抑制のための淘汰がはじまる。
ミスターブラック渡辺美樹の出現は時代の必然であり、彼を祭り上げて溜飲を下げてもこの趨勢は変わりはしない。
変わりはしないが、それでも労働者が矜持をもって働くことを求めるならば、そこにデータサイエンティストたる自分の役割を見出せるだろう。
前職では、若いデザイナーやプログラマーの業務とKPI(key performance indicator / 重要業績評価指標)とを有機的に紐づける、調査に基づくマルチファクターモデルの導入を試みた。
彼らの業務を定量モデルで構造的に収益への貢献と結び付けたとき、私のプレゼンに最も目を輝かせていたのもまた彼ら若いクリエイター達だった。
彼らは決して冷めているのではない。
彼らの魂に火を着けようとする熱意を持った大人が圧倒的に不足しているのだ。
失われた20年や氷河期など、己のすべてを時代の責任にして現実逃避してきた我々アラフォー世代は、彼らの冷めた視線に何も感じなくなってしまった。
本当に申し訳なく思う。
私もそろそろいい歳になる。
先人から学んだ技術を魂を込めて若い世代に継承することも考えなけらばならない。
その手段として、同じ労働者目線で同一のベクトルを推進する組織運営をデータサイエンティスト視点で確立していこうと考えている。
私を見る若者の目が輝いているうちは、社会に必要とされている実感を強く感じることができるからだ。
そのような環境があるならば、効率的なマネーゲームよりも過酷な搾取の渦中で彼らと共に労働者を楽しむ術を是非模索していこう!