早速検証に入ろう。
その前に、分析対象となる銘柄ユニバースを適切に選択することが重要である。
同じ負債でも製造業と金融業ではその意味合いが異なるため、同一基準で評価できないからだ。
金融業は顧客からの借り入れ金、すなわち有利子負債が商売の源泉であることは容易に想像がつくだろう。
また、東証1部とその他の市場では投資主体が異なるため、こちらもそろえる必要あり。
今回は日本産業のかつての花形、電気機器セクターの東証一部銘柄を使う。
データとその評価は下記のように行う。
・流動資産、負債:四季報の2013年秋号発売時点の値
・スクリーニング条件:東証一部の電気機器セクター154銘柄
・評価指標:2013年9月17日を0%とした向こう60日間のリターン
上記の銘柄を「流動資産-流動負債-固定負債」の上位50%の銘柄と下位50%の銘柄に分け、リターン平均のサヤを観察する。
バリュー銘柄が評価されて買われるならば、上位50%の銘柄が下位50%の銘柄をアウトパフォームするはずである。
さて、結果は下記。
・・・上位50%の銘柄と下位50%の銘柄のリターンが完全に一致している。
ネットネット株には何の優位性もなさそうな気配が色濃く漂ってきた。
60日では短い、投資有価証券を含めるべき、ほかの期間で検証すべき、バリュー株とは新興市場でこそ威力を発揮する、など反論は多々あろう。
是非検証結果を添えた反論を頂ければと思う。
私の師匠は常々「世の中にはまことしやかな嘘がたくさんある」と語っていた。
理屈は正しそうだが、検証してみると何のエッジもないこのような事例にはいやというほど触れてきた。
気が向いたら他の角度からの検証もやるかもしれないが、より直接的なエッジがありそうなアイデアが私の脳内には山積みなので、期待せずにお待ちいただければと思う。