1990年代後半、当時はまだインターネットが一般に普及しておらず、電話による発注が中心だった。

大手証券会社に日経225先物の発注をすると、電話をかけてから発注が通るまで5分以上待たされることもザラ。

日経225先物を売買する個人投資家はほとんどいないため、株のような取次マニュアルがなく、〝えーと、日経225先物でございますね、少々お待ちください。只今専門のものに問い合わせてまいります。”などのやりとりを毎回繰り返す始末。

当然その間価格は動くわけで、検証した価格できちんと板に乗せることができないという、今では考えられないようなリスクを個人投資家は背負っていた。


ここで証券会社にクレームを入れたり改善を求める投資家はいるだろう。


だが、私の師匠はスケールが違う。

なんと、〝注文から5秒で取り次ぐコールセンターを作る!”と言い放って証券会社に就職、実際に日本で最も速く日経225先物を取り次ぐコールセンターを作り上げたのだ。

その後彼はその証券会社を上場させ、さらに伸び悩んでいたFX会社を立て直したのち、その会社も上場させてしまった。

自分の発注が通らないというレベルの矮小な視点ではなく、真に個人投資家のためを思い、こういったスケールで行動を起こした個人投資家を私は知らない。


彼の存在が私の原初体験にあるため、自宅にこもってテンキーを叩くだけの生き方にどうしてもリアリティが持てないのだ。


では、お前はどうなんだと問われると、まだ答え探しの真っ最中。

天に唾しているのは百も承知。


だた、ここに来てひとつの一貫した方針は固まってきた。

それは、学ぶことを至高の楽しみとできる人間の特権を最大限活かせる場の提供だ。

今振り返ると、5年以上続けているトレードスクールは、試行錯誤しながらもそこを目指していたのだと思う。

師匠と比べるとスケールの小さな志だが、自分は自分にできる形で個人投資家を応援していこうと思う。

そのプロセス自体を楽しみとして人生を味わっていければ最高ではないか。

いづれ官渡の戦いにおける陳琳ごとき檄文を発するので、その激に感じ入るものがあれば是非参画してほしい。