「3436 SUMCO」公募増資からの手痛い学び:システムトレーダーとしての矜恃を捨て去る

昨日、公募・売出しを発表した「3436 SUMCO」。

いつも通り理論株価を計算し、それよりも十分高値で指し値を入れておいた。


算出された理論株価は1707円で、特別売り気配で始まるも、寄り付きは1840円と想定よりかなり高い。

その寄り付きでしっかり約定し、しめしめと値動きを安心して眺めていた。


が、その1840円を底にしてぐんぐん上昇し、前日安値近辺に接近、そこを抜けると一気に前日終値を突破し2000円目前まで!


寄り付きからの上昇は想定していたが、前日終値を超えてくるのは想定外。

何事が起こったのかわからず、再度リリース資料を読み込んでみる。


最初に目に付いたのは、調達資金の使途が優先株取得であり、消却だったこと。

優先株を消却すれば利息支払いが減るためポジティブであり、かつ潜在株式による希薄化も抑えられる。


だが、今回は公募と同数の売出しもあるため、その他の要因をコンサバに見積もっても前日越えはありえない。


正直手詰まり感を感じていた矢先、ツイッターで正解を知る。

う!!マジか!!


その情報を元に急いで理論株価を再計算してみると・・・2133円!!

公募増資イベントデイトレ

速攻で所持している玉を成り行きでぶん投げる!

不幸中の幸いか、1999円まで吹いた後、前日終値近辺までは戻ってきていたところだったので、そのあたりで損切りできた。


完全にルーチン化していた公募増資のイベント。

傷は浅くはなかったが、今回は金額分の学びを得、新たな概念を獲得できたと自分を納得させる。


遠い昔の自分だったら、

“今回は例外!しっかりと検証した優位性のあるシステムなのだから、サンプルを十分にこなせば、あるべき期待値に収束するはず!”

などと、システムトレーダーおきまりの念仏を唱えて、値決め日までポジションを握っていたことだろう。


もちろん今後の株価の推移はわからない。

時間経過と共に様々なファクターが混在してくるため、他の強烈なファクターで値を下げる可能性もある。


だが、新たな学びを腑に落とし、自分なりに導き出した結論を信じるなら、即損切り以外あり得ない。


今現在も公募増資イベントの検証結果を信じ、値決め日までポジションを握り続けるイベントトレーダーが多数いるだろう。

理論株価は1707円だとの信念のもと、今の株価水準を割高だと感じている者もいるかもしれない。


統計的優位性にベットするシステムトレーダーとしての矜恃を持っているなら、その行為は間違っていない。

適切なポジションマネジメントのもと、値決め日まで持ち続けるべきだ。


だが、常に成長を求め、次のステージへの飛躍を望むのなら、個々の事象を単なる例外で片付けず、深く深く洞察していこう。


例外は成長のタネ。

その例外を深く思考する自分の方が、きっと堅牢なシステムとして死ぬまで機能し続けるはずだから。