前号までの株価がそろったので、久々に四季報アナウンスメント効果検証をば。
■分析データ
・会社四季報2014年1集新春号(2013年12月13日発売)収録データ
・スクリーニング条件
‐東証1部銘柄
→マーケットユニバースをそろえる
‐貸借銘柄
→ロングショート戦略想定
‐発売日前月の売買代金1億円以上
→実売買を想定し1日平均売買代金500万円目安
‐データ欠損なし
→値が“-”になっていない、株価が当該期間すべて存在するなど
・説明変数(すべて発売日時点の記載値)
‐PBR
‐来期予想PER
‐前期配当利回り
‐前期記念配当、特別配当の有無
‐業績予想修正
・分割は分割後株価に補正
・株価は始値を使用
→実売買と検証結果を極力合わせるため
(終値よりも始値の方が流動性が高く、ザラ場引けなどの不確実性も低い)
・サンプル数:1,413銘柄
リターンの検証は、全対象銘柄の平均リターンを0%に補正した相対リターンとする。
ロングショート戦略前提であればこれでよい。
発売日当日を0日目とする。
その基点のリターンを0%として、向こう50営業日のリターンの推移を示す。
手数料などのコストは含まず。
さて、まずはPBR。
割安株投資の大本尊。
PBRは1倍以下だとその企業は解散価値以下なので、理論上ありえないとされる。
したがって、1倍以下の銘柄は超割安なはずで、四季報発売と同時に広く認知され強い買い需要が発生、リターンはプラスで推移するはず。
以下が検証結果のリターングラフ。

超過リターンなし。
おわり。
昔トレードセミナーを実施していた際、こういうシンプルな検証さえもできないトレーダーがとても多いことに驚いた記憶がある。
そんな状態で四季報(書籍)にペンでものすごい書き込みをして、割安株をメインに売買しているという。
自分は四季報の様々なファクターやその組み合わせを、過去にさかのぼって相当数検証してみたが、安定して勝てるものは極めて限られるのが現実だった。
彼らは自分のおよびもつかない長年の経験と勘でそのわずかな針の穴に糸を通していたのだろうか?
あるいはガネーシャや恵比寿様とホットラインでつながっていたのだろうか?
今となっては確認するすべはないので、これ以上の言及は避ける。
読者よ、あなた達が買っている売り板に並んでいる見えないライバル達は、この程度の検証は当然として、さらにすべてのファクター&パラメーターの組み合わせを最適化しているくらいに心得た方がいい。
そして、それでも竹やりを手に、F117ナイトホークから投下されるその板を買い上がるべきなのか、自らに問うてみるべし。
トレードの世界では剣はペンより強いのだ。