
需給ベースのトレーディングエッジとして、貸株超過で逆日歩攻めにあっている銘柄は調査する価値があるのではないかと思い、観察を始めている。
日本証券金融が、各証券会社からの制度信用取引における売り買い余剰分を突き合わせ、株が足りない場合、外部の機関投資家や証券会社から超過分の株を調達する必要がある。
当然タダでは借りられないので、売り方は品貸料を支払わなければならない。
この売り方が支払う品貸し料を「逆日歩」と呼ぶ。
日証金が入札方式で調達した株券のうち、最も高い料率を売り方は買い方に日々支払う。
売り方は逆日歩が発生し続ける間金銭の追加支払いを求められるため、一般的には買い方有利、売り方不利とされる。
ただし、その逆日歩を支払ってもなお売る主体がいるということは、それだけ売りに確信を持っているともいえる。
相場格言には「逆日歩に買いなし」と「逆日歩に売りなし」の両方があり、結局は状況によって様々なのだろう。
詳細な調査のモチベーションを上げるため、特徴的な銘柄を時系列で観察してみよう。
対象はいろいろお騒がせな「6054リブセンス」。

7/7から株価が下がり続け、7/28に注意喚起銘柄に指定される。
なお下げは止まらず、8/6にこの期間初の貸株超過32000株、逆日歩0.05円が付く。(①)
2日ほど貸株超過が解消されるも、8/12から再び逆日歩状態に。
8/13の引け後、決算短信と同時に業績予想下方修正発表。(②)
ただし、この修正はリブセンスの主力サイトがGoogle八分にあっている事実が事前に周知されていたため織り込み済みではあった。
セオリーとしては、不確定な事実が確定した場合リスクが減少するため、プラス材料になる。
8/18、貸株超過はこの期間のピーク、564200株をつける。(③)
8/21、逆日歩が最高料率の3.2円に達する。(④)
基準株価が798円なので、日に0.4%、30日で12%、年利146%という、ウシジマ君でさえも回収をためらいジャンプを提案しそうな料率だ。
ただし、この日の前日が株価の底で、それ以降上昇基調に乗る。
8/29、再び逆日歩が最高料率の4.0円となった。(⑤)
そこから再び株価は上昇。
9/3の1043円をピークに株価は再び下降トレンド入り。
同時に貸株超過も徐々に解消されつつある。
ということで、銘柄の状況によっては、逆日歩が最高料率近辺に達した後に株価が上昇しそうな雰囲気はある。
効果を発揮するユニバースやタイミングを見つけられれば、有効なファクターになるだろうし、原理が明確な分、自信を持って運用できそうだ。
HighFAI検証チームでも発足して、いつもの集合知で堅牢なシステムに仕上げたいところ。
興味のあるスクールOBまたはHITPメンバーは是非やろう。