トレーディングエッジを見出す際、まずやるべきことはゲームのルールを知ることだ。
ということで、JPX日経400の主要な選定基準を見ていこう。
———————–《東証HPより抜粋》
② 市場流動性指標によるスクリーニング
上記を除く全対象銘柄の中から、以下の2項目を勘案し、上位1000銘柄を選定。
・直近3年間の売買代金
・選定基準日時点における時価総額
(2)定量的な指標によるスコアリング
(1)により選定した1000銘柄に対して、以下の各3項目にかかる順位に応じたスコアを付与します(1位:1000点~1000位:1点)。
その後、各3項目のウェイトを加味した合計点によって総合スコア付けを行います。(ROEと営業利益はスコア付けに際しての取扱いあり)
・3年平均ROE:40%
・3年累積営業利益:40%
・選定基準日時点における時価総額:20%
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前回の伊藤座長の提言にもあったが、この指数の特徴はなんといってもROE。
すなわち、自己資本利益率の高い銘柄への投資を積極的に行っていくというメッセージを政府のお墨付きを得て発信し、それに呼応する形で日経と東証が銘柄選定基準を定めている。
こちらもかぐわしき出来レースの臭いを発しているが、臭いの強烈な事象ほど株価は歪みやすくもあるので、我々投機家としては歓迎したいところ。
次にイベントドリブンにおいては、需給変化が起こるタイミングが重要。
東証HPには下記のような記述がある。
———————–《東証HPより抜粋》
【銘柄入替え】
毎年6月最終営業日を選定基準日とし、毎年8月最終営業日に銘柄定期入替えを実施します。
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さらに詳細資料を読み込むと、組み入れ株価は8月最終営業日前日の終値なので、そこに向かって需給変化が起こることが想定される。
これは、日経平均銘柄入れ替えや新規上場と同じ原理。
この手のイベントドリブンを収益化しているトレーダーには、イベントがひとつ増えたわけだから歓迎されることだろう。
非常に基準が明確なので、ずいぶん前から思惑買いが入ってきそうではある。
しかし、機関投資家はそれがわかっていても、リターンの低減よりトラッキングエラーを恐れるという悲しい習性がある。
運用資産120兆の世界一の機関投資家であれば、なおさらその傾向が強いであろうことは想像に難くない。
——————《ロイターHPより抜粋》
ガバナンスの面では、本格的にGPIFを運用主体として組織改革するには、独立行政法人から別法人に移行する必要があると提言した。
現在は、理事長ひとりの独任制をとるが、複数の理事による理事会を設け、運用方針を決める権限を与える必要があるとし、特殊法人の形態への移行が想定されるという。
運用委員会に複数の常勤委員を配置し「専門家が理事会に運用アドバイスをする」(伊藤座長)としたほか、人員数や給与水準、経費も民間の運用会社のように弾力的な運営ができるよう提言した。
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“複数の理事による理事会を設け、運用方針を決める権限を与える”、“運用委員会に複数の常勤委員を配置し「専門家が理事会に運用アドバイスをする」”って、こんなことやれば誰もが責任を取らなくていい結論に落ち着くしかない。
それはすなわち、機械的にインデックスをなぞるという結論だ。
弾力的どころか硬直化が一気に進む、我々にとってはなんともありがたい「改革」である。
ということで、読者のイベントドリブンスケジュールに4月くらいからこのイベントを記入しておくとよい。
特に2014年は初年度であり、大きな歪みが期待できるのでなおさら美味しいかも?
多くの国民は、このような責任なき運用者に自分の将来を託していることを知らない。
そして、知れば知るほど恐ろしいと感じるだろう。
ならばやるべきは、自分の頭で合理的なシナリオを組み上げ、今、意味もなく抜かれている己の富を奪い返すことだ。
タイミングと銘柄選定基準は示してあるわけだから、あとは調べるだけの簡単なお仕事。
カリスマ投資家の「年忘れ!厳選おすすめ銘柄スペシャル袋とじ」を開封するより、はるかに価値が高く有意義な行動だとは思わないだろうか?
システムトレーダーのみなさん、もっと視野を広げて気概を持ち一緒にがんばっていこうではないか!