シストレ2.0時代における個人トレーダーの人心掌握術(2):専業トレーダーの憂鬱


トレードの魅力は、収益を生み出すまでのすべてのプロセスを個人で完結させられる点だ。

他者との関わりは常にストレスと同居しており、利害がからめば確執や憎悪さえも生み出す。


サラリーマンの脳の半分以上はこの他者との関わりから発生するストレス処理に充当される。

そもそも創造性の発揮を抑圧されている上、かように処理能力まで制限されては、固有性を発揮しろといっても土台無理な話だ。

ゆえに、兼業トレーダーとしてトレード技術に自信を深め十分なペリカを準備できた者から、自分らしい生き方を求め、地下強制労働収容所を脱出していく。


晴れてシャバの空気を思いっきり吸い込めるようになった彼ら。

だが、晴れやかな表情を見せたのは束の間、徐々にその表情はくぐもっていく。


自由を手に入れ、自分の好きなトレードに打ち込める幸せを感じているはずなのに、どこかサラリーマン以上の厳しい制約条件が課せられ、自分は何者なのか、何者になりたかったのかを失念してしまっているかのよう。


釈迦が菩提樹の下で悟ったという「空」の概念。

自分とは空である。

したがって有ではない。

さりとて無でもない。

ならば空である自分を、いかにして認識するのであろうか。


自分らしさ、固有性の希求という目的変数の値は、説明変数の重み付け和によって定まる。

つまり、外部環境との関係性の選択、ウェイトによって自分は説明でき、そのとき初めて自分というものが定まり認識可能となるのだ。


ここに専業トレーダーの憂鬱を解消するヒントが隠されている。