一時期よく読んでいた斎藤孝の書籍に、ストップウォッチを活用する記述があった。
彼は大学教授で、常にストップウォッチを持ち歩いている。
自分の作業時間の計測もさることながら、生徒が何か報告に来た際も、ストップウォッチを1分などに設定し、簡潔な報告を求めるという。
生徒からするとちょっといやな先生だが、長い目で見ればそれが教育の質を高めるという彼の信念なのだ。
1分で報告せよとなると、無駄を省き理路整然と話を展開しないと間に合わない。
斉藤先生に報告する際は、事前に頭の中で1分シミュレーションをする癖がつき、密度の濃い思考が身につくというわけだ。
これをフリーランスの時間管理に活用する。
まず、設定は15分。
人間の睡眠は90分周期、大学の授業も同様に一コマ90分、高校までは45分、テレビ番組は30分か60分。
これまで経験してきた時間感覚を活用し、その最大公約数である15分を1単位とする。
そして、何かに取り組む際、事前に何単位使うかを想定しストップウォッチを押す。
15分の間は対象に集中して、他の雑念を振り払うように努める。
自分の場合、パソコン作業が大半を占めるため、気がつくとネットサーフィンやYouTubeで動画を見ていたりする。
この時間を累積すると相当に無駄な人生を送っていると畏怖さえ覚える。
カウンターがまわっていると、せき立てられるように対象に集中できるため、その15分の密度は非常に濃くなる。
あと、ちょっとした集中テクニックとしては、パソコンの画面を対象以外できるだけ見えない状態にすること。
余計なアイコンが目に入るだけで、脳の領域が持って行かれるので、それを防ぐためだ。
そして、もうひとつ大事なことは何にどのくらいの単位を使ったかを記録すること。
科目を作って、日々カウントしていく。
大切なのは、科目がすべて将来の財産になるかどうかの吟味である。
ブログを書く、読書、瞑想、運動・・・など科目を作ったら、その意味づけをしよう。
たとえば読書に対する意味づけ。
・新概念獲得
・既存概念との接続
・ボキャブラリーを増やす
・ブログ、メルマガ、動画コンテンツネタ
・スクールやセミナーで展開するプレゼンネタ
・トレード、ビジネスへの転用、能力向上
ブログのネタになれば読者を満足させることが出来て、リピーターになってもらう効果がある。
ボキャブラリーを増やせば、言葉に厚みが出るので、これも直接的、間接的に関わる人を満足させられる。
これらは、情報経済における富の源泉たる他者の効用を生み出す。
また、古典をトレーダー視点で読むことで、自分ならではの感覚を得たり、既存知識が整理されることによる気づき、発見があるかもしれない。
富は最終的には自己の充足のために使うものだ。
読書によって直接的に充足を得られるのであれば、貨幣を介在させずとも目的は達する。
このように取り組みの意味を重層化した上で、ストップウォッチを使って時間の密度を極限まで高める。
無駄の多かった今までの人生を取り戻すべく、それまでの数倍の密度で生きる。
その実現ための技術だ。
スカスカな生き方をしているような気がする。
日々の充足感が薄い。
これがストップウォッチ一個で改善するなら、グレアムも悶絶してしまう超絶バリュ-投資だろう。
だまされたと思って是非お試しあれ!