例の青年の第二回講義動画が送られてきた。
毎週、彼の上質な思考に触れるのが楽しみになっている。
この状態が既に彼の術中にはまっているといえるが、自分の感覚と展開される講義とを照らし合わせての熟考もまた、成長を実感できる至福のひとときである。
トレードの世界をゼロサムゲームだと捉えると、勝ち続けるためには、ライバルに対して常に一定の優位性を確保していかなければならない。
読者もそのための方策を、日々苦しみながら練っているのだろうと推察する。
ここで、個別の技術ではなく、優位性を確保するための行動指針を考えてみたい。
直接的な優位性の差は、接触する情報の差によって生まれる。
極端な例でいえば、インサイダー取引。
企業経営者や議員立法で法案通す代議士などは、一般の市場参加者に対して圧倒的な優位性を持つだろう。
その優位性は、株価を直接動かす情報へ接触しているか否かによって生じていることは論を待たない。
しかし、上場企業の経営者や、国会議員になるのは極めてハードルが高い。
つまり、接触する情報格差の存在は、市場参加者間に何かしらの超えがたきハードルが存在することを意味する。
逆に考えれば、もし何らかの方法で高いハードルの向こうへ行くことができれば、我々も圧倒的優位性を持つ情報に接触できる可能性があるのだ。
たとえば、面倒な検証作業。
読者も、アイデアとしては面白いが検証する能力がないために調査を諦めた、そんな経験はあるだろう。
ゆえに、ツールのボタンを押すだけでは検証しえない、ハードルの高いアイデアには強力な優位性が眠っているかもしれない。
より簡単な方法は金銭的コストを支払うこと。
現在、無形のデジタルコンテンツの大半は、ググれば無料で手に入る。
読者も、欲しいコンテンツの検索キーワードに“無料”を掛け合わせてググった経験があるだろう。
大衆は、無形≒無料だと強く思い込んでおり、300円のアプリ購入にさえ躊躇してしまうよう、フリーミアム経済に訓練されきっている。
これを逆手に考えれば、適切なコンテンツへの数万円、数十万円の支払いは、超えがたきハードルとなる。
もしそのハードルを越えることができたなら、中国の超密集プールから無人の青い海へと移動するがごとく、見据える世界が一瞬で変わる。
再生産コスト0円のPDFファイルや動画、音声コンテンツに数十万円を支払うなど、大衆の視点からは狂気の沙汰なのだから。
彼らは密集したプール内で他人を押しのけるべく無料の情報をわれ先にと漁り続け、優位性を確立することなく、やがてその生涯を閉じる。
固定収入を絶ち、限られた預金残高から直感の赴くまま狂気の沙汰に大金を投下し続ける。
その狂気が大衆に理解不能であればあるほど、優位性は圧倒的。
金が尽きるのが先か、ブルーオーシャンに漕ぎ着けるのが先か。
ククク・・・狂気の沙汰ほど面白い!