ポジションの合成による効用値の低減 | 心理的効用関数からみた両建てポジションの合理性

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ポジションの合成による効用値の低減

さて、前回の2つの素材を元に、効用値を低減することを考えます。

 

再掲になりますが、1枚のロングポジションを持って、原資産価格が100円上昇したときの効用関数をみてみましょう。

 

ポジションの合成による効用値の低減

 

上図のように利益が+100円で、効用が+120となっています。

 

次に2枚にロングポジションと1枚のショートポジションを合成したときの効用関数をみてみましょう。

 

ポジションの合成による効用値の低減

 

上図のように、利益は同じ+100円でありながら、効用は +160 - 120 = +40 と低減していることがわかると思います。

 

当然逆のこともいえて、原資産価格が100円下降したときには下記のようになります。

 単体:損失 -100 / 効用値 -120

 合成:損失 -200 + 100 = -100 / 効用値 -160 + 120 = -40

 

このように、人間の効用関数が対数関数であることを逆手にとって、期待収益は同じ仕掛けでも、効用値の変動幅を小さくすることを、両建てという手段を用いて実現することができます。

 

そして、この変動幅が大きければ大きいほど精神的磨耗が激しいことは、トレードをやったことがある方なら誰でも感じているはずで、そのことにより相場の世界から足を洗った人も多いと思います。

 

そういった意味で、自分の心理的耐性の程度と相談しながら、その負担を軽減できる両建てのあり方を検討することは大いに意味のあることです。

 

たとえばロングポジションを仕掛けるとき、“0-0” → “0-1”とするのではなく、 “2-2”と構えておいて、”1-2”と売りポジションを決済することでロングを作っていくと、仕掛けの初動イナーシャの負荷を低減するという意味もあり、二重に有効です。

 

また、ポジションを落とす際も、“0-1” → “0-0”とせずに “1-2” → “2-2”とツナギを入れる感覚を養えば、スムーズにデルタ調整ができるようになると思います。

 

その感覚を養成できたなら、次は異限月、異銘柄、そしてオプションなどを利用して、よりダイナミックに効用を低減したり、さらに収益を高めながら効用を低減していくという、ワンランク上の技術習得にチャレンジしてみましょう。

 

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