03.現実的な考え方
まず、常識から考えると、前提が現実的にはありえないことに気がつくと思います。すなわち、この賭けを成立させるためには胴元が∞の資金を持っていなければならないのです。
現実的には∞の資金を持っている人間はこの世には存在しませんので、したがってこの賭けそのものが成り立たないため、パラドックスは起こりえないと考えます。
なので、現実的にこの賭けを成立させるためには賞金に上限を設けることになります。全盛期のビル・ゲイツの個人資産はかつて10兆円といわれていましたので、その金額をベースに考えてみましょう。すなわち、賞金の上限を10兆円とするのです。
すると、37回目で6.9兆円、38回目で13.7兆円となりますので、38回目以降はすべて10兆円の賞金となります。
よって、この賭けの期待値は、
50×37+10兆×(1/2^38)×2≒1,923円
となり、これなら支払ってもいいかなと思える金額に落ち着きましたね。これで現実主義的な考え方の人に対しては一応の答えが得られました。
しかし、思考実験としては∞の資産を持つことを仮定することはできますので、まだ完全にこのパラドックスが解決したわけではありません。