02.エルスバーグの実験結果
エルスバーグが1961年に発表した論文によると、(1)では“A”、(2)の1は“A”、(2)の2は“B”が好まれるという実験結果が報告されました。
実際には(1)のつぼの選択も(2)のクジの選択も、AとBに確率的な優劣はありません。
(1)でのA、Bの違いは、つぼAが当選確率50%であることがわかっているのに対して、つぼBはそれがわかっていません。
(2)の1では、クジAが当選確率30%であることがわかっているのに対して、クジBはそれがわかっていません。
(2)の2では、クジAの当選確率がわかっていないのに対して、クジBのそれは60%であることがわかっています。
すわなち、同じ「不確実性」であっても、“確率がわかっている不確実性”と“確率がわかっていない不確実性”では、人は前者を選ぶということです。
このことを最初に主張したのは経済学者のフランク・ナイトです。彼は前者を『リスク』、後者を『真の不確実性』と呼び、区別すべきだと主張しました。確率を測定できるリスクは不確実ではないというわけです。
さて、エルスバーグの実験により、不確実性の評価方法の見直しを迫られました。それまでに考えられていた、“期待値基準”や”期待効用基準”でも説明がつかないからです。
そのひとつの説明方法の際に前提となるのは、『足して1にならない確率』の導入でした。