03.飛躍するためにかがむ
タイガーウッズのランドスケープに倣って、我々システムトレーダーのランドスケープを考えてみましょう。

(0)まず、いきなり出鼻をくじくようですが、そもそも最も大事なことは自分が取り組んでいくべき適切なランドスケープを探すことなのです。利益を出せるランドスケープ自体は無限にあるのですが、世の中に氾濫する情報から、本質をはずさないランドスケープを見つけることはなかなか大変です。
運のよさにも左右されますが、まずは欲や恐怖を取り去った状態で、頭をゼロベースに戻し、アンテナを張ってよき出会いを求めていきましょう。
@そこがクリアできれば、成功できる目が出てきます。対象となる銘柄や時間軸、手法などを極力絞り込んでシンプルを旨とした後、ひたすら試行錯誤です。
試行錯誤の方法もシンプルを心がけ、定量的な分析結果と真摯に向き合い、予断を持たず銘柄の声に耳を傾けましょう。最低でも半年は浮気をせずにひたすらに一点突破を図れば、他人には見えざるものが見えてくると思います。
A運用が安定してくるということは、パフォーマンスが安定することとは同義ではなく、むしろ荒れた損益の中にも心理的中庸を保てることの意味合いを指します。
損をしている時期と利益が出ている時ででは、どうしても気持ちのムラが出てくると思います。私も今でも不感症になっているわけではなく、むしろその気持ちのブレを認めた上でどう対処するかを日々考えています。
瞑想やルーチンワークの確立など、自分なりの創意工夫の取り組みに終りはないのです。
B一皮向けるには、この沈みを能動的に生み出していけるかが最大の山場(実際は谷場ですが・・)となります。
私のランドスケープでいえば、安定しているシステムから、迷いのあるパラメータを除去する過程にあたります。一度積み上げたものを壊すということは、過去の自分の否定であり、費やした時間や労力を捨てることでもあります。
しかし、最終的にはこの時点の前後の自分の対比があるからこそ、浮かびあがる本質に光が当たるのです。私はその葛藤の中にあるとき、天才芸術家、岡本太郎の言葉に背中を押されました。
『みんな人生は積み上げるものだというけれども、私はむしろ積み減らすものだと思う』
C高みに登った実感というのは過去の自分との相対的な差異にあるわけで、他人との比較にはありません。したがって、今の自分の立ち位置の程度を他人に求めることはナンセンスといえます。
自分なりに最大限の努力をやりきった後はえもいえぬ達成感に包まれるもので、人はそのために生きているといっても過言ではないでしょう。
『より高く飛躍しようと思う者は、より低くかがまなければならない』
シストレに限らず、底なし沼にはまり込んでいるような感覚に陥ったときに私が思い起す言葉です。
もちろん他人や外部環境に無理やりかがまされていることもあるでしょう。
しかし、それも含めて、より高みに登るための飛躍の準備期間と考えることができるかどうか。突き詰めていけば、一事をなすかなさざるかの差は、結局はその認識が持てるかどうかの差のように思えます。