06.ピンポイントパラメータ | 改良(=パフォーマンス改悪)システムの運用

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06.ピンポイントパラメータ

演繹的アプローチには、パラメータの値をピンポイントで採用できるという面白い特性があります。

 

例として、あるパラーメータの値を一単位ずつ変化させていった場合の損益期待値の変化を考えてみます。(ここでのパラメータの値とは、たとえば移動平均の日数や損切り金額、ポジションの保有日数など。)

 

その結果、下記の図のようなグラフが描かれたとします。

06.ピンポイントパラメータ

 

帰納的アプローチでは恐らく、“A”近辺の値を選ぶことがセオリーと考えられるでしょう。なぜなら、パラメータの値が少々変化してもパフォーマンスに影響が少なく、かつ正の期待値を確保しているからです。

 

逆に“B”近辺では期待値は高くとも、ちょっとパラメータの値が変化するだけで期待値が負になる可能性があり、運用上不安が残ります。

 

したがって、“A”近辺の値を採用したシステムを“堅牢なシステム”として推奨することには合理性がありますし、特に私も否定するつもりはありません。

 

しかし、演繹的アプローチではすでにパラメータの値は定数として決まっていますので、その値が“C”であるならば、自信を持って“C”をピンポイントで採用できます。

 

帰納的アプローチでは怖くて使えない値を採用できるということは、多くのシステムトレーダーがしのぎを削っている激戦区から距離を置きながら、しかも同等以上のパフォーマンスを得る可能性を有していることを意味します。

 

いわば、ゴールドラッシュで夢を追って必死に金を採掘している人達に、ジーンズやつるはしを売って儲ける、といった感じでしょうか。

 

古今東西、“勝つ仕組み”を持つ人達と持たない人達とで、見えているものはさほど変わりはありません。

 

ただ、勝つ側の人間はそこから有用な知識を抽出するための“補助線”をもっており、その一本の線が文字通りその二者を分かつ決定的要因となるのです。

 

その補助線をどこに依拠するかは人それぞれです。

 

帰納的アプローチでももちろんいいでしょう。その場合には、とにかく検証や実運用の“量”をこなすことで自信という“質”への転化を図ることが大事になってきます。翻って演繹的アプローチでは、すでに“質”が確保されていますので、自信を持って経験の“量”を積み上げていける、そこに極意があるのです。

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