20.あるべきシステムトレードスタイル
システム構築の基本的な考え方はすでに述べましたので、今後私の理想とするあるべきシステムトレードスタイルについて考えてみたいと思います。
一般的に“よいシステム”とは、右肩上がりの美しい直線を描くシステムだとされています。これまで私が述べてきたシステム構築の方法も、基本的にはそれを目指しています。
しかし最近“それが終着点ではないのではないか”と、ふと考えることがあるのです。
相場には当然利益が出やすい時期と出にくい時期があります。 それでいながら、常時利益が出て右肩上がりのきれいな累積損益曲線を描くということに矛盾がないのだろうかと‥。
人生においても山あり谷ありで、何をやってもうまくいかない時期があるかと思えば、神がかったようにすべてのことがうまくいく時期もあるでしょう。美しすぎる累積損益のシステムを目指すことは、この世に生を受けてから死にいたるまで絶え間ない成功を目指すことに似ています。
しかしそんなバラ色の計画をいくら立てても、決して実現しえないことは今まできちんと生きてきた方ならば容易に理解できると思います。
ここでトリノオリンピックで荒川静香に敗れた当時最高のフィギアスケーター、ロシアの「イリーナ・スルツカヤ」の言葉を思い出してみます。
「自分の演技にはがっかりしたけど、これは競技で氷の上では何でも起こり得る。今更もう何も変えられないわ。“それが人生よ(That's just life.)”。」
日本中がオール松岡修造的テンションでイナバウアーフィーバーに沸く中、私はスルツカヤが「That's just life.」と言い切ったときの達観したような笑顔にむしろ感動を覚えました。
血管が炎症を起こすことで手足がむくみ、指先の感覚がなくなって全身に痛みが走る「自己免疫疾患」という難病を自分がわずらっていることが判明したとき、
また、母親が腎臓病で倒れ人工透析を受けながら2度目の移植手術を待っているとき、
さらに家族の生活費や自分と母親の多額の医療費が自分ひとりの肩に重くのしかかっているとき、
彼女はいつも同じ笑顔で「That's just life.」と言い切る。
今、自分のできる最善を尽くしたのならば、結果はすべて受け入れることを人生哲学とした弱冠27歳のスルツカヤ。そのスルツカヤの言葉に、システムトレードのあるべき姿を見た気がしました。
より大きく飛躍しようと思う者は、より大きく沈み込む必要がある
常に勝ち続けることはできないことを悟る
継続は力なり
足るべきを知る
そしてすべてをひっくるめて「That's just life.」と言い切る
私は今後10年くらいの時間をかけてゆっくりとこれらの言葉を血肉としていきたいと考えていますし、あるべきトレードスタイルにいたるまでの試行錯誤を繰り返すプロセスを楽しめる自分を認識したとき、至高のシステムトレーダーであると胸を張って言い切れる自分をそこにみるのだと思います。
それでは最後にあらためて、Let's システムトレード! for your happy life.