11.単体システムの評価項目
システムを構築する前に、その評価項目を定めましょう。
まずここでは、単体システムの評価項目を考えてみます。ここで“単体”という表現は、最終的に運用するシステムがこの単体システムを合成して構築されるため、それとの区別を考えて用いています。
最初に、「トレードスタイルの確定」で前提とした項目を再記します。
・取引銘柄数
1銘柄
・取引銘柄
東京とうもろこし(期先)
・取引日数
732日(毎日1回)
・取引期間
2003/10/21-2006/10/19
・仕掛け/手仕舞い
(前場第一節)寄り付き仕掛け/大引け手仕舞い
・売買枚数
1枚/1日
さて、単体システムの評価項目は下記のものとします。
・損益合計
検証する期間にシステムどおりの売買を行うことによって得られた損益の総計。
他の条件が同じなら、この値が大きい方がよい。
・最大ドローダウン
累積損益の直近最高値と当日値との差の最大値。
他の条件が同じなら、この値が小さい方がよい。
・擬似シャープレシオ(=損益合計/最大ドローダウン)
損益合計を最大ドローダウンで割った値。
上記2つの評価項目を1つの評価項目として集約したもの。他の条件が同じなら、この値は大きい方がよい。※本来のシャープレシオは分母に損益の標準偏差を用いるため、 “擬似”とした。
・1日平均損益
1日あたりの平均損益。
1日1枚の制約条件があるので、最低でもこの値は手数料を超える必要がある。
・年間平均損益
1年あたりの平均損益。
「1日あたりの平均損益」に244(このデータでの平均的な年の取引日数)を掛け合わせて算出。この値で、実感としてのおおよその年間損益がわかる。
・勝率
日々の売買の勝率。
±0はここでは勝ちとする。
・累積損益曲線の美しさ
累積損益曲線を眺めて、感覚的美しいと感じるかどうかの定性評価。
美しさの基準は自分で決めてよいが、大枠としては下記の2つ。
・曲線の滑らかさ
・周期性の有無
ここでは{A+、A-、B+、B-、C+、C-}の6段階で評価することにする。

このほかにもプロフィットファクター、損益レシオ、最大フラット期間など、いろいろと評価項目は考えられるでしょう。しかし、ここでは“このシステムは長期間運用し続ければ利益を上げることができるか”、とういことをざっくり判断できればよいと考えています。
なぜなら、単体システムは合成して用いますので、ここで細かいことを評価してもあまり意味がありません。そしてなにより、あまりに多くの評価項目を見てしまうと、もっとも大切な“判断”に迷ってしまいます。“使える”システムであると判断するための評価項目で迷いを生じさせるのは本末転倒でしょう。