05.制約条件からのトレードスタイルの確定
ここに、ごく普通のサラリーマン“銀太郎”を想定しましょう。
『30歳の独身、商社勤めで会社では中堅クラス、だいたい毎日朝8時半から夜7時まで働いている。 貯金は500万ほどあるが、将来の結婚などことを考え、日々倹約に努める。 ただ、部下との付き合いや趣味のゴルフなどを楽しむために、月にあと10万円お小遣いが増えればより充実した毎日が暮らせるのだが…と考えている。』
では、彼の制約条件とその中で最適なトレードスタイルを考えていきましょう。
・トレードに使える時間帯 : 実際にパソコンの画面を見て発注ができる時間帯
銀太郎は日中は仕事のため、場を見ることはできない。また、朝の8時半に出社しなければならないため、寄付きを見て発注することもできない。したがって、使える時間帯は場が閉じた夜が中心となる。
・トレードに使える時間 : 発注作業や分析、データ入力に使える時間
銀太郎は仕事を家に持ち帰ったり、仲間との付き合いも多いし、それらをおろそかにしたくないと考えている。したがって、夜の最大30分を確保するのが精一杯である。
・トレードに使える資金量 : 証券口座に入金できる資金量
銀太郎は独身であるため、500万円丸々使えることは使える。日々の生活費は給料でまかなえるので、その資金を生活資金に当てる心配は今のところない。しかし、突発的なことに備えて100万円は銀行口座に入れておきたい。したがって、400万円を証券口座に入金する。
・リスク許容度 : 最大ドローダウンやオーバーナイトに対する資金的、心理的許容度
銀太郎は今の給料を考えて、現段階で300万円あれば将来設計に大きな影響はないと想定している。したがって、このトレードで200万円までなら損失を許容できる。夜は仲間との付き合いや恋人との時間を純粋に楽しみたいし、昼間の仕事に集中するため、夜は枕を高くして寝たいと考えている。したがって、ニューヨークの動向に左右されないデイトレードを選択する。(オーバーナイトはしない)
・トレード対象銘柄/銘柄数 : 売買する銘柄と銘柄数
銀太郎はひとつのことに集中して掘り下げていくことが世界を広げることにつながるという信念を持っている。仕事も商社ということから、商品や商品先物に対する知識も人より深いものを持っていると自負している。特に次世代燃料と期待されるエタノールの原料である”とうもろこし”には興味を持っており、とうもろこしなら長く付き合える銘柄になるのではと思っている。したがって、“東京とうもろこし”の1銘柄をトレード対象とする。
・発注のタイミング : 新規建てと手仕舞いのタイミング
使える時間帯およびデイトレードであるという制約条件がある。また、仕事中はトレードに一切時間が割けないため、逆指値は入れられない。したがって、“寄り付き”に建てて“引け”で手仕舞うこととする。(逆指値を入れると、それが約定しなかった場合に手仕舞い注文を場中に変更しなければならない。ただし、約定後に自動的に手仕舞い注文をすることは証券会社によっては可能。※ステップ注文など)
これで銀太郎の当面のトレードスタイルは確定しました。(ただし、実際にはリスク許容度など、売買をしていく中で変化していくものもあります。損失の許容額を200万と想定していても、実際にそこまで我慢できるかは現段階ではわからないものです。)