03.なぜシステムトレードか(2)
齋藤孝の著書『天才の読み方―究極の元気術』の中の“イチロー”に関する記述の中で、下記のことが記されています。
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イチローに関して非常に特徴的なところは、チェックポイントが絞られているということです。イチローは、バッティングをするときのポイントを体の中に、2つ持っていると言っています。
「上半身と下半身にポイントが一点ずつあるんですが、狂いを調整するためには下半身の使い方が重要なんですね。まあ、下半身の動きを具体的に言えば、右足の使い方と踏み込んでいく角度かな。今角度に狂いが生じてしまうと、球をしっかりと捕らえたつもりでも凡打になってしまうんですよ。」
この2ヶ所をチェックすれば、自分のフォーム全体をチェックすることになります。イチローはそういうチェックポイントを絞り込むことに練習時間を相当割いていると思います。
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バッティングというきわめてシンプルな動作であっても、つま先から頭のてっぺんまでチェックすべきポイントは無数にあります。それら無数のチェックポイントを包括する少数のチェックポイントを見つけ出せるか否かが、一流のバッターとそれ以外とを決定付けると齋藤氏はこの著書で述べています。
逆に言えば、それら少数のチェックポイントがしっかりしていれば、無数のチェックポイントもそれによってすべて押さえられるということです。(昔から多くのスポーツで“臍下丹田を意識せよ”と言われていたことは、このことに通じます。)
前回、裁量トレードの売買結果は“相場のゆらぎ”と“トレーダーの技術的要素”という2つの要因によって定まると考えました。相場のゆらぎに関してだけでも世界経済の動向、個別企業の業績、日本経済のファンダメンタルズ、投資家心理、テクニカル的価格ポイント‥などなど、数え上げたらきりがなく出てきます。そして、それらが売買結果へ与える影響を逐一チェックすることは現実問題として不可能でしょう。
それではトレーディングにおいて、イチローのバッティングと同じくそれらを包括するチェックポイントを見つけることは可能なのでしょうか。私は“あらゆる要因の影響はすべて価格に反映される”という前提にコミットし、かつトレードを厳密にシステム化することによって、それは可能になるのではないかと考えました。
もしそのチェックポイントが見つかれば、学習するために最も必要とされる“適切なフィードバック”を得られます。そして、そのチェックポイントを自分のものとしたとき、日々上達を実感できるPDCAサイクルが完成され、あるべきプラスのスパイラルを昇っていけるはずです。