01.ルッソとシューメーカーの実験
ルッソとシューメーカーは、競馬の予想屋に対し、まず5つのデータを与えて予想を行わせました。その後、10、20、40のデータを与えて同様に予想をしてもらいました。
すると、データが増加しても予測の精度は高まらない一方で、予想屋たちの予想に対する確信の度合いは高まっていったということです。

(出展:Russo and Schoemaker 「Winning Decisions」)
ここで思い当たるふしがあると考えられる人はまだ大丈夫ですが、それに気づかずにただ闇雲にデータをいじり倒して観察している人は要注意です。
私は銘柄の特性をきちんと理解するために基礎分析を重視するので、トレードスクールでも1回の授業時間を割いて教えています。多くのシステムトレーダーは、いきなり高い期待値や利回り、滑らかな累積損益曲線を実現するための検証作業を行っているようですが、それはちと危険です。
もちろん最終的にはそこを目指していくのですが、その堅牢なシステムを構築するための基礎工事が大切だということには異論はないでしょう。見方を変えれば、その銘柄の“ツボ”をしっかりと押すために人体の細部まで解体するというイメージでしょうか。
では、その大事さがわかったという前提で基礎分析をやってもらうわけですが、やり方を間違えると、膨大な分析データを導出している熱心な人ほど大切なツボが見えなくなり、誤った確信に到ってしまうことが多々あります。
それでは、ルッソらの研究を視点とした、正しい確信を得るためのコツを考えていきましょう。