「朝三暮四」

≪語源由来辞典より一部引用≫—————-

朝三暮四は、中国の『列子(黄帝)』や『荘子(斉物論)』に見える故事に由来する。


中国の春秋時代、宋の国に狙公という猿好きの老人がいた。

猿が増えて家計が苦しくなったため、飼っている猿に与える餌を減らそうと考え、狙公は「これからはトチの実(どんぐり)を朝に三つ、暮れに四つやる」と言った。

猿が「少ない」と怒ったため、「朝に四つ、暮れに三つやる」と言い直したところ、猿はとても喜んで承知したというものである。

この故事から、結果は同じなのに表面的な利害にとらわれることや、そのようにしてだますことを「朝三暮四」と言うようになった。

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さて、本当にこの猿は結果は同じ事象に感情的になる愚か者なのだろうか。

投資家の観点で考えたとき、朝四暮三を要求した猿は極めて合理的である。


オプションには「セータ」というパラメータがある。

オプションプレミアムは時間経過によって減少していき、その減少額の1日分を表すパラメータがセータだ。


株式トレードにおいて時間の価値を体感することは難しいが、オプションでポジションを組成すると、いやでも時間の持つ価値を感じずにはいられないだろう。

「Time is Money」を体で学ぶにはオプショントレードを一度経験してみるとよい。


件の猿が投資家ならば、寄り付きから引けまでの時間を使って、先に獲得したひとつ分のどんぐりを投資してセータを剥ぐことだろう。

1年250営業日で換算するならば、朝四暮三の猿は朝三暮四の猿に対して250個分のどんぐりから生み出される多額の利潤を享受するのだ。


時間は価値を持つ。

ゆめゆめ1000年前の中国の猿に負けぬよう精進を怠るな。