競馬システムの現実:国税の恐怖が超過リターンの源泉か!?

例の競馬巨額脱税裁判で有名になった卍氏の「馬券裁判」読了。

馬券裁判

“勝つ馬ではなく過小評価されている馬を買う”、“回収率だけが評価基準ではない”、“スランプ(最大ドローダウン)93%(!!)に耐えるメンタル”などなど、システムトレードにも通じる考え方が書かれてあり、非常に興味深く読んだ。


そしてもうひとつの興味の対象である最高裁勝訴までの道のり。

・突然10人の国税局員がインターホンを押してやってきた
・紳士的な対応で預金通帳などの資料を段ボールで押収
・外れ馬券は経費として認められず、延滞税など諸々含めて税額10億(!)の宣告
・手持ちの6000万を納税して無一文で9億4000万が残る
・生活費以外のお金はすべて毎月の納税に充当
・身籠もっている妻へ事実を告げる心痛
・つてもなく、裁判を請け負ってくれる弁護士探しの苦労
・弁護士との打ち合わせから裁判への出廷の繰り返しで、最高裁判決まで5年(!)の歳月を費やす
・外れ馬券が認められた今も滞納している多額の税金が残っており、この本は納税のために書いた


・・・、いやいやいや・・・。

少なくともPATによる自動発注での競馬システムの構築の意欲を削ぐには十分の内容だった。

JRA(農林水産省)→国税の流れで個人の投票データが流れているわけだから。


また、競馬の場合は定常性が確保され、試行回数も多いので、毎月プラス収支は容易かと思っていた。

しかし、書籍に書かれてあった累積損益曲線の最大ドローダウンは93%を示していた。


うーむ、その強靱なメンタルがあるなら、TOPIX組み入れや株主優待などの適当な株のシステムにベットし続けた方がよほど儲けられるだろう。

税金も20%払い切れば終わりの明朗会計だし。


ただ、卍氏は利益の半分以上を投資信託で溶かしたらしいので、株の素養はあまりないのかもしれない。


彼のパソコンを立ち上げたままの高頻度の自動発注でそれなら、マークシート手書き運用だと労力に見合うリターンが得られるかどうか。


ニュースシステムコミュニティの中にも興味を持っているメンバーが何名かいるが、現実は厳しそうだぞ。


ま、この税金の恐怖があるから超過リターンが残っているのかもしれないし、税金問題がクリアになったら、プログラミング能力を持ったデータサイエンティストが大挙してエッジを潰しにくるかも。

ということで、興味を持ってくれたメンバーの諸君、この件は再度ご相談させていただければ。