時間がかぎられることをチャンスに変える:銘柄調査の簡易化がもたらす新たな効用

会社四季報2015年秋号

3時間おきのミルクとおむつ替えの日々。

トレードに割ける時間が少なくなった分、要点を絞った銘柄調査を心がけている。


それまでは、今現役スクール生が日々アウトプットしているようなフォーマットに従った銘柄調査を実施していた。

ひとつひとつの要素を深掘りしていくため、1銘柄30分はかかる。

体にシナリオのイメージを作っていく上ではこの数稽古は欠かせないので、スクール生には3ヶ月にわたるアウトプットを強要している。


継続的なトレーニングを経て、ある程度体感でエッジの有無が見えるようになると、ざっと必要な資料に目を通すだけでビビッとくるようになる。

ビビッと来た銘柄だけに最終チェックをかけ、仕掛け手仕舞いのテクニカルポイントを決定し発注する。


今は基礎調査を1銘柄5分くらい、最終チェックを1銘柄5分程度で完了する。

ギャップアップ売りに限定しているので、サプライズニュースがエアリリースかどうかを重点的にチェックすれば良く、調査はかなり簡易的に実施可能だ。


もうひとつの利点は銘柄惚れしないこと。

ある銘柄を30分以上の時間をかけて調査し、最終的にエッジがなかった場合、サンクコストを惜しむ気持ちがどうしても出てきてしまう。


すると、エッジがないとわかっていながら、“なにか使いようはないか”とエッジが存在して欲しい願望で銘柄を見てしまう。

結果、期待値のない仕掛けによって無駄な損失を被ってしまう。


チェック項目を絞った簡易調査なら、優位性がないと直感した段階で後ろ髪を引かれることなく捨て去ることが出来る。


時間がないことを結果が出ない言い訳にする人間は多い。

しかし、限られた時間を所与のものとして真正面から受け止めたなら、いくらでも代替案はあるのだ。

むしろ、今まで見えていなかった視点の獲得さえ可能となる。


あなたが、“今バタバタしていて・・・”が口癖になっているなら気をつけた方がいい。

その口癖が洗脳ワードとして、自分を小さく小さくまとめてしまっているのだから。