去年2013年9月24日に公募増資を発表した「3421 稲葉製作所」を例にとって考える。


《稲葉製作所IR資料より引用》————

9月24日:自己株式の処分及び株式の売出しに関するお知らせ発表

400,000株:公募増資

800,000株:売出し

180,000株:オーバーアロットメント

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オーバーアロットメントは教科書通り上限いっぱいの15%に設定されていることがわかる。

(400,000 + 800,000) × 15% = 180,000


《稲葉製作所IR資料より引用》————

10月2日:処分価格及び売出価格等の決定に関するお知らせ

1,299円 :公募増資の処分価格一株につき

1,245.4円:払込金額一株につき

11月1日:グリーンシューオプションの行使期限

10月5日~11月1日:シンジケートカバー取引期間

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10月2日の終値1340円から約3%ディスカウントした1,299円が処分価格となり処分金額は519,600,000円。

実際に稲葉製作所に払い込まれる金額は1,245.4円で計算され498,160,000円

約4%の21,440,000円が主幹事証券会社であるSMBC日興証券に支払われる。


この処分価格1245.4がポイントとなり、シンジケートカバー取引による買付期間である10月5日~11月1日において強力なサポートとなると考えられる。

当該期間にこの処分価格を下回った場合買いが入るとのシナリオは、10月2日引け後に組み立てられるだろう。


実際のトレードシステムとしては、11月1日まで1,245円以下の約定が180,000株に達するまでは目をつぶって買い、180,000株を超えてきたら投げる。


実際の株価推移を見てみよう。


オーバーアロットメント期間3日目(10月9日)受け渡し日前日に1,240円を付けてきた。

が、その後めでたく1,245円を下回ることなく推移し一時1,300円超え。

正確には11月1日の最終日に1,244円を付けており、やはり意識されている価格のように感じる。


東証のHPで確認すると、シンジケートカバー取引で1,800株を買い付けた模様。

1,240円を付けたところを見ると、1,245円にガッツリ指値を入れるわけでないようだ。


実践ベースでは利益時のイグジットをどうするかは検証の必要あり。

最終日まで引っ張った方がいいのか、一定の日柄や値幅で手じまった方がいいのか。


ということで、オーバーアロットメントに絡み、合理的仮説と面白い傾向が見て取れた。

あとは統計的に意味のあるリターンが得られるか検証の数を積み上げるのみ。


かつて南海の鶴岡監督が「グラウンドには銭が落ちている」との名言を残した。

今回のようなヒントはネット上にはいくらでも落ちており、野球以上に直接銭になる。

その落ちている銭を拾うかどうかは読者次第。

これ以降は読者の真剣かつ真摯な努力を期待する。