イベントを軸としたユニバースの視点(1):資金の環流、移動状況を把握する

マルチファクターモデルのための論理学

一般的に用いられるユニーバースとしては、市場、規模、業種、スタイルなどが挙げられる。

年金や投資信託を運用する場合、これらのインデックスをベンチマークとして相対評価し、そのユニバースに含まれる銘柄にウェイトを付けてポートフォリオを組成する。


また、これらのユニバースをしっかりチェックしている個人のトレーダーやディーラーも多い。

ここで見るべきポイントとしては2つ考えられる。


ひとつはユニバース内での資金環流の状況だ。

ユニバース内でのリバランスにより、相対的に割高になった銘柄は売られ、割安になった銘柄は買われる傾向がある。

これを利用して、ユニバース内でペアトレードのポジションを組んだり、出遅れ株を買っていく戦略に落とし込む。


もうひとつは、ユニバース間の資金移動だ。

景気循環におけるセクターローテーションの例を出すとわかりやすいだろう。


景気回復初期段階では資本財需要が高まるため、建設機械や工作機械、半導体装置などの設備投資関係の業種が買われる。

次に景気拡大の段階では、自動車や家電、小売りなどの消費関連業種、金融や建設などの金利敏感業種が買われる。

最後に、景気の縮小段階では、食糧品や医薬品、インフラなどのディフェンシブ業種が買われる。


したがって、景気回復の兆候を感じた後、拡大を確信したのであれば、設備投資関連銘柄から消費関連銘柄に投資資金が移動すると考え、ピークを付けた前者を売りこれから資金が流入するであろう後者を買うペアトレード戦略の発想に到る。


確かに原理原則としては正しい視点、発想だが、我々個人トレーダーが直接的に活用するには、抽象度を引き上げて再度還元し、新たなユニバースの考え方を取り入れる必要があるだろう。


たとえば、今の自分が主戦場としているイベントを軸としたユニバースだ。