戦う領域を見極める(6):自分らしいトレードスタイル確立へ向けた足し算思考からの脱却

レジーム・スイッチ DVD 夕凪

末端支流労働者が今のスキルに磨きをかけても、人間のコモディティ化が急速に進む現代においては、報われない可能性が極めて高い。


労働を商品とみなすと、その価格は需給で決まる。

ならば高い需要はあるが激戦地である領域から抜け出し、それなりの需要で誰もいない領域に自分を投じることを考えよう。


需要に対して供給が圧倒的に絞られるため、出しているアウトプットは平凡でも価格は自然と上がっていく。

トレーダーなら誰もが知っている、至極簡単な原理だ。


では、その領域をどのように見つけるか。

単一スキルでは市場効率性仮説に従い、需給バランスの崩れた領域は短時間で超過リターンを消し去る。

ゆえに発想を変えなければならない。


領域を見つけるのではなく、開拓するのだ。

そのもっとも手っ取り早い方法が、今のスキルとすでに需要のあるスキルを掛け合わせること。

自分の例でいうと、「データマイニング」×「WEBマーケティング」、あるいは「データマイニング」×「システムトレード」。


学校教育における我々の評価は、各科目の“足し算”で決まっていたことを思い出そう。

ものごころついた頃から、独立した単一領域のスキルを磨く末端支流労働者養成カリキュラムを学び、何の疑いもなくその加点量を競ってきた。


各科目を掛け合わせて新たな発想を生み出す。

学習指導要綱に、それを具体的に実現させるメソッドは存在しない。

なぜなら、そんな試験は存在しないし、点数にならないからだ。


これまで数社の一流大企業で働いてきたが、偏差値の高いほとんどの労働者の発想が、単一領域の足し算思考だった。

だから市場原理にさらされ、その優秀な頭脳や苛烈な労働に見合わない報酬しか得られない。


地を這う末端支流労働者よ、これからでも全然遅くはない。

過去の奴隷養成教育で得た財産をすべて捨て去り、掛け算思考で自分だけの唯一無二の領域を開拓してみないか。


目先はまず、読者が情熱を注ぐ「トレード」に自分のいかなる固有性を持ったスキルを掛け合わせるかを考える。

簡単ではないだろう。

だが、この掛け算思考で自分らしいトレードスタイルを確立できた未来をイメージしたとき、とても高揚した気分にならないだろうか。

そうであれば、その答えを導き出す過程こそが生き甲斐。

ではないかな?