シストレ2.0時代における個人トレーダーの人心掌握術(1):組織推進のための毒霧作戦


ビジネスシーンにおいて結果を出すには、人心を掌握する術は必須である。

コミュ障である自分が、ADR企業の稼ぎ頭部署でナンバーワン評価を得たのも、この術の寄与するところが大きい。


どんな有意味な提案であっても、人を動かさなければ何も形にならないため、文字通り絵に描いた餅。

喫煙室で理想だけ語る社内評論家はどこの会社にもおり、例外なく仕事が出来ない。


自分は昼飯もひとり、飲み会も常に不参加、仕事中無駄なコミュニケーションもしなかった。

プライベートで遊んだり、部署のみんなにお菓子を配ってまわるなど、もってのほか。

かような、サラリーマンとして致命的な行動原理で動いていた。


しかし、組織力学の観察は怠らなかった。

といっても難しい話ではなく、誰がキーマンかを見定め、彼の一声がどの程度の影響力を持つかを知る。

彼を頂点とするトップダウンの指揮系統にあるのであれば話は簡単だ。

そのキーマンを説得しさえすればよい。


キーマンの説得には、売り上げやコスト削減効果などのKPI改善に向けた合理的プロセスを提案すれば十分。

実はここでは人心掌握術は必要ない。

理に則って提案するだけでよい。


その術が威力を発揮するのは、通った提案を傘下のメンバー達に下達する際だ。

彼らはKPI向上にはあまり興味がないので、理だけでは本気になってくれない。

別の力学、すなわち感情に訴えかける必要が出てくる。


全体展開に向けて、パワーポイント資料に毒の霧を吹きかけ、プレゼン時の言葉に危険ドラッグを注入する。

メンバーへのプレゼン終了後、彼らは“言葉の意味はよくわからんが、とにかくやってみよう!”という気分になる。


そして、麻薬が抜けきる前に、最もKPI寄与率の高い施策を実施し、目の前でその効果を実証できれば、組織は自律的によい方向へと動き出す。


では、我々個人トレーダーにこの人心掌握術は必要だろうか?